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娘の入院 [古ひつじの詩(川柳・狂歌・詩・散文など)]

予定通り、娘が入院した

前日まで仕事に行ったはった


病院の自動ドアが開き
荷物を両手に持って
ロビーに入っていく後ろ姿を見送って
私はとりあえず帰ってきた


家族の人は昼から来てくださいというのは、
病院からの指示だから



ひとりで車を運転して帰ってきた

あたまの中は空っぽで何もなかった

駐車場に車を停めて
家に着くまでのほんの数分
膝から下が、
何倍ものGがかかっているように重かった

それを意識したとたん
じわっと涙があふれた。

鼻がツンとした。
頬を伝う涙が冷たい風にさらされた。


そか、
私、今まで、
がまんしてたんや・・・。


家に帰ると、
喜ぶふくを抱きしめて
ひとしきり泣いた


ヤクルトのお姉さんが来た
明るく元気な声で商品を勧める

いつもなら、その人の職業や生活など
つい奥行きを考えてしまうから
決して愛想の悪い
つれない態度はとらないけれど
今日は笑顔になれなかった

笑顔になれる余裕がなかった



ごめんなさい。
いらないの。
ありがとう。
さようなら。


真顔で言ったら
商業的な笑顔を固まらせて
お姉さんは黙った


すかさず玄関のドアを閉める

もう誰とも話したくない


世の喧騒の中にある暮らしから、
今日は遮断されていたい


時計を見ながら
娘からのLINEを待つ

それだけで精一杯・・・









最後までお読みくださってありがとうございました[るんるん][ぴかぴか(新しい)] m(_ _)m



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